回転ずしでお持ち帰りしたお寿司を食べ終わったカー君をせかし、

急いで銭湯へ行く。


時間はもう23時前。

今から行く銭湯は24時閉店。

また違う銭湯も体験させてあげたかった。

今日は徒歩15分ちょい行ったところにある別の銭湯へ。


その銭湯は、マンション2階にある。

一階は駐車場、2階は銭湯。

昨日は昔ながらの銭湯だったが、今日は番台ではなく、フロント形式で、広い休憩スペースもあり、湯舟は電気風呂、ジェットバス、露天風呂、黒湯もある。


フロント前に休憩スペースがある。

「ここは24時閉店だからそれまでに出るように。早く出たらここで待ち合わせな」

今日は閉店時間を告げ別れて入った。


夜遅い時間だというのに、女風呂はとてもにぎわっていた。

露天風呂あるって教えたけど、ちゃんとわかるかなー?

少々心配しながら、閉店時間ぎりぎりまで入っていた。


出ると、彼もちょうど出てきたばかりだった。


深夜24時すぎ、静かになった町を歩く。

昼間は36度を超えていた東京。

暑さでぐったりしていたが、銭湯上がりで気持ちよくなった体に夜風が気持ちいい。


銭湯上がり、歩いて帰ってる時が、とても幸せに思う。


彼も同じで「家のシャワーでこんなに気持ちいいなんて思ったことが無い。

銭湯は入っても気持ちいいし、帰りも気持ちがいいね!

銭湯が近くにあれば、僕は毎日行くよ。


今日は炎天下の中、1日中歩いて足がとっても痛かったんだ。

今日行った銭湯には、ジェットバスがあって、ふくらはぎをマッサージすることができたんだ。

今はもう全然痛くないよ!

銭湯はマジックだね!

その隣に、ビリビリするお湯があったよ!

あれは何!?」


「あれは電気風呂っていうもので、微量の電気が流れてるねん」


「何のため!? 危険だよ!」


「おじいちゃん、おばあちゃん達が好んで入るねん。」


「あんな恐ろしい風呂に老人が入るのか!? 信じられない…」


彼にとって銭湯は癒しと驚きの場所らしい。







カー君、来日3日目は、祭日の8/11。

当初の予定では車で富士山を見に連れて行って、カー君が大好きなお寿司を思う存分食べさせてあげようと、郊外にある回転ずしに連れて行ってあげようかと思っていた。


しかし、前日行けなかった新宿、秋葉原、六本木にへカー君一人で行くことになった。

夕食は家で食べ、今晩も銭湯行く。


私は、回転ずし腹になっていたので、郊外にある回転ずしを食べに行った。

その時、そうや!回転ずしをお持ち帰りしてあげよう!と、カー君が好きそうなネタを10品注文し、お持ち帰りした。


カー君は、お寿司が大好き。

とくにマグロが一番好き。


来る前にお寿司が好きと聞いていたので、1日目の夜は、海鮮丼を作ってあげた。

具はマグロ、ビントロ、ハマチ、ネギトロ、サーモン、イクラ。

6種類のてんこ盛り!

カー君は目をまん丸にして大喜びし、

「こんなすごい海鮮丼見たことが無い!

上海だと、これなら5,000円はするよ!

ほんとにこれ全部僕が食べていいの!?」


興奮しながら、いろんな角度で写真を撮り、すぐ中国のSNSにアップした。

即、友達から、驚きと羨ましい~とメッセージが入ってきた。


その時、ハマチ、ネギトロ、ビントロを中国で見たことが無く、食べたことが無いと言っていた。

ハマチを食べて「これおいしい!僕、これ好き!」と言ってたので、なんとなく彼のすしネタの好みを聞いていた。


今晩行く銭湯は24時までやっていると伝えると、彼は22時過ぎに帰宅した。


お寿司のお持ち帰りして、ずいぶん時間が経ってしまった。

新鮮さは無くなったが、大きなお持ち帰りケースに入ったお寿司を出すと大興奮。

「WOW!!! これ、食べていいの!?」

「いいよ、これ全部カー君の」

「これだけのお寿司、高かったんじゃないの? お金払うよ。いくら?」

「いいよ。回転ずしやし、安いし」


一口食べると、大興奮!


「おいしい! おいしすぎる!!」


「ほんと!?

でも、ずいぶん時間が経ってしまったから、おいしくないと思う」


「ほんとにおいしいよ!

僕は初日、渋谷に行ったとき、お寿司を食べたくて、回転ずしに入って食べたんだ。

こんなにおいしくなく5皿で出た。

一皿100円で安いから、おいしくないんだと思った。

これは、ほんとうに回転ずしなのか?

渋谷で食べた寿司と全然違う!」


「観光客が行くようなお店や、都心駅前にあるような回転ずしは、あまりおいしくない。

一般庶民の日本人は、郊外にある回転ずしに食べに行く」


「僕も郊外の回転ずしに行きたい!

明日が東京滞在最終日だから、明日の夜行きたい!」


彼は、ほぼ毎晩お寿司を食べることになった…





3万円盗まれたが、大切な試験に合格したことに感激し、彼は私が用意しておいた夕食を食べる。


時間があれば、銭湯に連れて行ってあげたいなーと思っていた。

しかし、中国人はお湯につかる習慣が無く、特に中国南部の人たちは、熱いお湯に浸かれないし、人前で裸になって入浴するなど絶対無理!って言う人もいる。


3年間日本で留学していた貴州省出身のカンチャンも、銭湯や温泉に誘っても頑なに拒否していた。


同じ貴州省出身のカー君はどうだろう・・・?


前日、「温泉を知ってる?」って聞いた。

「知っている。友達が日本で温泉に行ったって言ってた」

「カー君行きたい?」

「うん、行ってもいいかな?」

「日本では、オールヌードにならないといけない。それは知ってる?」

「え!? ほんと!? それは知らなかった。 でも他人とは別だろ?」

「いいや。他人も全員オールヌードで同じ湯舟に入る。」


彼は絶句した。


「ちょっと考えさせてくれ…」

一気に消極的な返事になった。


「日本では簡単に温泉に入れるの?

僕の友達は、別府温泉に行ってたよ。別府は遠いよね?」


「関西は温泉は少ないけど、九州や東北、関東周辺は多い。

この近くにも温泉がたくさんある。」


「ほんとうに、みんなオールヌードで入るの?

水着を着ないの?」


「シャワー浴びるのに水着は着ないでしょ?

それと同じ」


ちょっと納得したようだが「挑戦する」とは言わなかった。


前日そんな会話をしていた。


その日は予定より早く帰宅し、急に時間ができたし、明日、明後日だと行けるかわからない。

銭湯行くなら今日だ!と、夕食を食べ終わった彼にYouTubeの「外国人用銭湯の入り方」を見せた。


彼は興味深げに映像を見ていた。


見終えた彼に「どう? 入れそう?」と伺った。

「うん。 いいね」と言う。


「じゃ今から銭湯行く?」


「え!? 今から!? 心の準備ができてないよ! 

それにすぐ行けるの?」


「歩いて15分ほどのところに銭湯があって、そこは日本でも珍しい真っ黒なお湯やねん。

行こう!」


少々戸惑っていたので、関東の黒湯の詳しい説明文をネットで探し、彼に見せるととても興味深げに読んだ。


黒湯に興味を示し「じゃ!行こう! 何を持っていけばいい?」


彼の銭湯用品をサッと準備し、すぐ出かけた。


銭湯までの道中、さらに詳しく銭湯の入り方とマナーを教えた。


「僕と君とは、別々に入る? 

どうやって待ち合わせする? 

君はいつもどれくらい入るの?」


「私はいつも1時間ほど入るかなー?」


「1時間!? 僕はそんなに長く入れないよ!」


「じゃ、30分後に待ち合わせはどう?」


「30分も長いけど、ま、30分後に待ち合わせしよう」


その日行った銭湯は、昔ながらの番台があり、番台からは、お互いの脱衣場横にある坪庭に面した休憩スペースの長椅子が見える。


その説明を事前に詳しくできなかったので、別々に入口を入り、番台越しに

「早く出たら、あの長椅子で待ってて」と英語で説明した。


「え!? この男性外人さん!? 大丈夫?」と、番台のおばちゃんが心配してくれた。

「外国人用の銭湯の入り方の映像を見せ、さらに詳しくルールを説明したので、大丈夫だと思います」

「ならよかった。じゃ私も気にかけて見といてあげるわね」


その銭湯は、閉店時間がちょっと早め。

40分後には閉店時間になっていた。

30分後に待ち合わせしているから、ちょっと急ぎ気味で広い湯舟を満喫した。

女性風呂は私が最後だった。

私が脱衣場に行くと、女性風呂の電気が半分消え、おっちゃんが掃除にとりかかった。

私も着替え終わり、30分後に番台越しに待ち合わせしている男性用脱衣所の休憩スペースを見ると、彼はいない。

番頭のおばちゃんが「あれ? 彼まだ入ってるわねー」

「まだ湯舟に浸かってるんですか?」

「そう」


あれだけ「そんなに長くお風呂に入れなよ~」って言うてたのに、まだ湯舟に浸かってるって!?


もう閉店時間だから彼を出さないと!


おばちゃんが女性風呂からそろそろ時間だよって言ってあげてと言うので、私は女性風呂から、大声で「カー君~ もう時間やでー そろそろ出て~」と叫んだ。


慌てて着替えて彼が出てきた。


「もう最高! 

日本式のお風呂がこんなに最高だなんて知らなかったよ!」


「カンチャンは銭湯に行ったことある?」


「ない。彼女は3年も日本で暮らしてたのに、一度も行かなかった」


「えー! 信じられない! 

僕は日本に来て2日目で入ったのに~

なぜこんな最高なのに入らない!?」


「彼女はオールヌードになるのが嫌らしい」


「僕も最初はそう思った。

でも、入ってたらどうってことない。

それより、湯舟に浸かるとがこんなに気持ちいいなんて驚きだよ!

昨日、今日と暑い中熱き回って疲れてたけど、広い湯舟に浸かっただけで、疲れが取れた。

まるで魔法だ!

日本滞在中、毎日入りたい!

明日も銭湯に行こう!


日本は最高!

こんなに素晴らしい体験をいっぱいできるなんて、想像しなかったよ!

僕、日本が大好きになった!

日本は毎日驚きの連続だよ。

日本に来るまでは、日本人は見た目も中国人と同じで、文化も中国の流れをくんでいる。

だから、中国とあまり変わらないだろうと思っていた。

でも、全然違った。

中国人は、本当の日本を知らない人がいっぱいだよ。


今まではオーストラリアが一番好きだった。

でも、今は日本がダントツに一番好きな国になったよ!」


初めての銭湯の帰り道、彼は日本を大絶賛してくれた。


半分強引だったが、銭湯体験をさせてよかった。






日本滞在2日目。

彼は一人で都内に出かけた。


その日の予定は、

「新宿、秋葉原、皇居、夜は六本木の夜景を見に行くから、帰宅は遅くなるが、夕食は家で食べる」

と言っていた。


4時ごろ、彼から連絡があった。

「お金を盗まれた!

今から帰る。

帰ってすぐパソコンを貸してほしい」


げ!!

日本滞在2日目にして、お金を盗まれる洗礼を受けるなんて!

安全で財布を落としても戻ってくると言われている日本でお金を盗まれるなんて!!

驚きと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「どこで盗まれたの? すぐに警察に行って!

いくら盗まれたの? 帰ってこれるの?」


「皇居で3万円盗まれた。

リュックに1万5千円分けて入れてあったから、1万5千円はある。

だから帰れる。

とにかく今から帰る」


皇居でお金を盗まれたって!?


警察に行ってという返事は無い。

警察に行ってないのか?

交番を見つけられないのか?

彼が帰宅後、近所の交番に連れて行って被害届を出したほうがいいのか?

できれば被害場所に近い警察に被害届を出したほうがいいと思う。

そのようにメッセージを送るが、それに対しての返事が無い。


夕方、彼が急いで帰宅した。


「財布盗まれたの!?

クレジットカードを止めないと!」


「現金だけ抜き取られた。

クレジットカードはある。

さっきスマホで、使用されてないか確認したら、大丈夫だった。」


「どうして現金だけ盗まれるの!?」


「皇居で歩き回り、テーブルがある休憩場所があったんだ。

ポケットに入れてあった財布とスマホをテーブルに置いて、座ったんだ。

そしたら、大切な電話がかかってきたんだ。

周囲がうるさくて、その場を離れてしまったんだ。

5分後戻ると、財布はテーブルの上にあったけど、中身の現金3万円がなくなっていたんだ。」


「あぁ~ なんてこった~

警察に行った?」


「すぐ休憩場所のお店の店員に事情を言ったけど、「わからない」と言われた。

警察にも行ったよ。

若い警官だったけど、「言葉がわからない」と言って何も対応してくれなかった。

僕は、日本語で「三万円、無くなった。盗まれた」って言ったんだ。

でも、警官は「わからない」しか言わなかった。

なぜ?

僕は日本語を話してたんだよ!

なぜ?」


たしかに、彼は「三万円、盗まれた」と日本語で言った。

それなのに、警官は「わからない」と言い続けたのか・・・?

私にも理解できない・・・


身元がわかる財布ではなく、現金だけだったから、ややこしいと思い「わからない」と言ったのか・・・?


「でも財布やカードは大丈夫でよかった。

中国なら全部取られてるよ。」


「申し訳ない・・・」と私が誤ると

「犯人は中国人だよ」と言う、

「なぜ!?」

「だって周囲には中国人しかいなかったから」


「それより、パソコンを貸して」

そう言うと、急いでパソコンを使った。

どこかのサイトにアクセスし、彼は大喜びした。


「どうしたの!? お金が見つかったの?」


「一か月前、大切な試験を受けたんだ。

さっき、その試験の結果発表のメールが届いたけど、スマホでは見れなかったんだ。

合格したよ!

これは僕の人生にとって、とても大切な試験だったんだ!

今日はとてもハッピーな日になったよ!」


えー!?

お金を盗まれたけど、ハッピーな日!?

めっちゃポジティブ


「お金は働けばいい」


もうお金のことなど全然悔やんでなかった。


3万円盗まれた事より、大切な試験に合格していたことの方が喜びが勝っているようだった。


すぐ、両親に試験に合格したことを伝えていた。


「お金を盗まれたことも伝えた?」


「そんな事は言わない。

そんなに気にすることではない」


彼の気持ちの持ちように学ぶことが多かった。



その日、都内では38度になり、とんでもなく暑かった。


夜「今から帰る」と連絡があった。


帰宅すると、彼はもうヘトヘト。


用意しておいてあげた冷たい水をがぶ飲み。

一気に1.5L飲み干した。


一息つくと、リュックから次々に空のペットボトルを出す。


「今日は暑くて、ペットボトルを10本買ったよ!

でも、飲み干したボトルを捨てるゴミ箱がどこにもないんだ。

なぜ!?

ゴミ箱が見つからず、捨てられず全部持って帰ってきたよ~」


最近はコンビニも店内にゴミ箱を設置し、通りすがりにゴミを捨てにくくなっている。


「駅や町、どこにもゴミ箱が無い。

なぜ!?」


あー 確かに~

これは、私も都内に引っ越してきて感じた。

関西では駅やホーム、町中にもゴミ箱がある。

でも、首都圏の駅や構内にはゴミ箱が無いことに驚いた。


「都内はテロ対策でゴミ箱を置いていない」


ゴミ箱が無い理由に、彼は驚いた。


「日本は安全なのに、テロ対策が徹底しているんだね」


「昔、宗教団体による駅や車内で無差別テロがあった。

それから都内の駅構内からゴミ箱が撤去された」


その話をすると、目を大きく見開き、

「あ! もしかして・・・ 有名な事件だよね? 

なんていう宗教団体だったっけ・・・?」


宗教団体名を言うと、彼は思い出したように「そうだ!そうだ!僕知ってるよ!」と言い、

あの事件とゴミ箱が無いことが繋がっていることに驚きながら、妙に納得していた。



「最初、駅や車内、町中で飲み物を飲んでいいのかわからず、ずっと我慢をしていたんだ。」


「歩き飲み、車内での飲食禁止とか、そんなルールはないよ~」


「駅や車内で飲み物を飲んでいる人がいないんだ、なぜ?

自販機があって、飲み物は買えたけど誰も飲んでないんだ。


たまたま彼の周囲には、飲み物を飲んでいる人がいなかったのだろう。


そう言われれば・・・

日本人って歩き飲みしてる人って外国に比べると少ないような気がする。


「途中でもう我慢ができなくなり、隠れて水を飲んだよ。

そしたら、今度はゴミ箱が無いんだ。

日本人はみんなゴミをどうしてるの?」


「ゴミ箱を探す。

あれば捨てるけど、見つからなければ持って帰って捨てる」


彼はあっけにとられていた。


そんな話をしながら、私が彼が持って帰ってきたペットボトルのラベルを外し、ペットボトルを洗う姿に驚いた。


「家でペットボトルを捨てるときは、ラベルを外し、キャップやボトルを洗って、乾かして分別して捨てる」

と、教えると、めっちゃ感心していた。


彼は日本のゴミに関する事に衝撃を受けていた。









プロフィール

かおり

Author:かおり
大阪出身
旅が大好きで、気がつけば40数カ国旅をしています。そして念願だった旅行記を2006年出版。
多くの人に一人旅の魅力やイスラムの国々の良さを知ってもらおうと、書著「やっぱり旅はやめられない イスラム編」を書きました。
2008年に第2弾となる「中国編」を出版。

最寄の書店での注文、もしくは上の“おすすめ商品!”の「やっぱり旅はやめられない」をクリックしてみてね!

プロフィール写真は、私本人ですが実物はまるで違います…あしからず。

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  • 日々のできごと
2016年09月03日 (土)
初めての電気風呂
2016年09月02日 (金)
ほぼ毎晩お寿司
2016年09月02日 (金)
初めての銭湯
2016年09月01日 (木)
お金を盗まれた!
2016年09月01日 (木)
ゴミ箱が無い!
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by AlphaWolfy
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