天使が舞い降りた 1

ちょっと、ちーちゃんネタです。


先日ちーちゃんの両親が上京し会ってきた。

ちーちゃんのお父さんは、ちーちゃんが無くなった1年後、人に教えてもらい『被害者家族の会』に入った。
月に一度週末に、東京で会合があり、参加のする為に上京している。

いつもだいたい日帰り。
「週末に会えますか?」と両親から連絡があるが、
私は残り少ない東京暮らしを満喫するため、週末は出かける用事が詰まっている。

今回は、「金曜日の夜に会えますか?」と連絡があった。
「金曜日の夜なら大丈夫です」と返事をした。
「今回はチャコちゃんも来れるので、かおりさんもぜひ来てください!」


チャコちゃんは、私と両親、もう1人、ちーちゃんが現地で最後に会った日本人男性のKさんと4人でミャンマーに訪れた時に出会った日本人女性。

チャコちゃんとの出会いは衝撃だった。



ちーちゃんと同じ行程でヤンゴンから進み、殺害現場となったパガンの地で、遺体確認をしてくれたミャンマー人ガイドと現地警察に事件当時の話しを聞き、事件の足跡を追い事件現場に行ってお花を手向けた。

その日は、心身ともに疲れ果ててしまった。

夕食時もみんな憔悴しきって言葉が少ない。

「両親もお疲れでしょうし、明日は昼まで自由行動にしましょう」と言って寝た。

ちーちゃんの事件現場となったパガンでは、ミャンマー人ガイドから
今まで知らなかった事実を知ることになり、
頭を何度も殴られたような感覚になり、私は思考回路がマヒしてしまった。

事件現場に行った日の夜は、なかなか眠れなかった。

両親も今晩は眠れないのだろうな・・・
と、思っていると、
隣の両親の部屋から、大音量のイビキが響き渡りちょっと驚いた。
お父さん、眠れてるんや・・・
すごいな・・・

翌朝、私は久しぶりに目覚ましをセットせず、ゆっくり昼前(11時)まで眠った。

そのホテルは中庭があり、各部屋の前にテラスがあった。
626 (9)

テラス越しに両親の部屋を見ると、静まり返っている。
まだ寝ているのかな?

私はテラスでボーっとしていた。

今日は両親とどのように接したらいいのだろう・・・
私がこれほどショックを受けているのだから、両親はもっともっとショックを受け、憔悴しきっているだろう・・・
もう1泊この街に滞在しないといけない。
このホテルに居たら、また事件の事を思い出すかもしれない。

連泊する予定だったが気分を変えるため、いいホテルに泊ったほうがいいかも・・・思った。

一緒に行った日本人男性Kさんが起きてきた。
ホテルを変える案を伝えると、彼も賛成してくれた。

両親はまだ起きてこない。
そろそろ12時でチェックアウトの時間。

両親を起こしに行こうかなー?と思った時、
両親が外から帰ってきた。

「出かけてたんですか!?」

「今、チハルと会っただよー」

とうとう両親はショックのあまり、幻覚を見るようになってしまったか・・・
と本気で思った。

昨日まで肩を落とし憔悴しきっていたのに、
今日は、昨日とはまるで別人のように、ニコニコと笑顔で2人で
「今チハルと会った!」
「あれはチハルだよー」と何度も言う。

私とKさんはどう反応していいか戸惑った。

「そうですか・・・。 
今2人で話し合ったのですが、今からホテルを変えることにしました。 
荷物をまとめてください」

「え!? ホテル変わるんですか?
チハルと今日の夕方約束したのに・・・
会えなくなるんですか!?」

「チハルちゃんと約束したんですか!?」

「そう、 今日の夕方このホテルまで会いに来てくれる約束をしたんです。
またチハルに会いたい…」

私とKさんは顔を見合わせ、どこまで本当なのか意味がさっぱりわからなかった。

「その人が泊ってるホテルわかります?
わかれば伝言して今晩会うようにしましょう」

私たちは、半信半疑だったが、両親が見たチハルちゃんという人が泊っているホテルに行った。
「ここに日本人女性は泊ってますか?」
「Yes」

私たちはメモ紙に伝言を書いた。
「今晩急きょホテルを変更することになりました。
夕方迎えに行くので、ホテルで待っていてください」
フロントに託した。

夕方、彼女がホテルに帰ってくる頃、私たちがチャーターしていた車を迎えに行かせた。
そして、彼女を乗せた車が、私たちが泊っていたホテルに到着した。

両親は「またチハルと会える~♪」と喜んでいたが、
私とKさんには、両親はショックのあまり頭がおかしくなったんじゃーないか?と心配していた。

迎えに出ていた私とKさんは、彼女が車から降りたとたん息を飲んだ。

そ、そっくり・・・・
この世の中でこんなに似てる人がいるのか!?と思うほど、そっくりだった。

背格好、服装、内面から出る何気ない雰囲気、全てがチハルちゃんだった。


私とKさんは半信半疑だったが、「そっくり・・・ウソでしょ・・・」と驚いていると、
「チハルでしょ?」と両親はニコニコ。

意味が分からないまま車に乗せられ、高級ホテルに連れてこられたのは、チハルちゃんそっくりなチャコちゃんだった。

チャコちゃんは、驚いている私たちに挨拶をしてくれたが、私とKさんは開いた口が開きっぱなし。

「どうしたんですか~? 何がそっくりなんですか~?」
無邪気にニコニコとふるまってくれるチャコちゃん。

一緒に夕食を食べながら、いろいろチャコちゃんの話しを聞かせてもらう。

年齢はちーちゃんと1歳違い。
職業は、ちーちゃんと同じ看護師。
看護師になった経緯も、普通の大学を卒業した後、看護学校に行き看護師になった。
それもちーちゃんと同じ。
バックパッカーで今までいろんな国を旅していた。

話を聞けば聞くほど、ちーちゃんとそっくり。
みんなチャコちゃんの話しを聞く度に驚く。
そして、みんな涙目になながら、いとおしそうにチャコちゃんを見つめる。

様子が変だと感じた、チャコちゃんは
「私、何か変なこと言いました!?
なんでそんなに驚くんですか~? 
で、皆さんはどういう知り合いなんですか?」

その言葉にみんな詰まってしまった。

「いや・・・ まぁ~ ちょっと・・・」

「みなさん敬語で話してるけど、お父さん、お母さんって呼んでるし・・・
みなさんさっきから変ですよ~ どういうお知り合いなんですか?」

これ以上不気味に思わせても良くないと思い、
「私の友達の両親やねん。
Kさんとは知り合いというか、私の友達の知り合いやねん」

「複雑な関係なんですねー? で、そのお友だちは??」

またみんなで言葉が詰まった。

誰が言ったか思えてないが、もうこれ以上隠せないと思い、誰からともなく説明した。

私たちの複雑な関係を知り、ちーちゃんの事件を知り、チャコちゃんはすごくショックを受けた。
「半年前にそんな事件があったんですね…
私、全然知らなくて・・・
ごめんさない・・・
ただ、ミャンマーはいいって聞いたから…
知らなくてごめんなさい・・・」
チャコちゃんは、涙を流しながら謝った。

「チャコちゃんは謝ることなどないねんで。
事件があって、すぐ公にしないように報道規制をかけたから、事件のことを知らない人が多いねん。
知らなくて普通やねんで」

食事の後半は、みんな涙、涙だった。

「こんな素敵なご両親がいて、
わざわざミャンマーまで来てくれる友達がいたチハルさんはすごく素敵な方だったんでしょうね」

「実は・・・
私たちがさっきからチャコちゃんをいとおしそうに見つめるのは、
チャコちゃんが、チハルちゃんそっくりやねん。
今日、両親が「チハルと会った!」ってすごく喜んでホテルに戻ってきた時は、幻を見たと思ってたけど、
車からチャコちゃんが降りて来た時、ほんとうにチハルちゃんが戻ってきたとびっくりしてん」

「だから、驚いてたんですね・・・
初対面なのに、すごく驚いてたから何だろうな?とは思ったけど・・・
私、そんなにチハルさんと似てるんですか?」

「雰囲気がすごく似てる。
それにチャコちゃんの話しを聞けば聞くほど、生い立ちや生きる方が同じで、さっきからずっと驚いてるねん」

「チハルさんと会ってみたかったな・・・」

チャコちゃんは、チハルちゃんと似てることを嫌がらず、
私たちがチャコちゃんを通しチハルちゃんと重ねている事にも嫌がることなく、快く受け入れてくれた。

私とKさんが両親を支え、ミャンマーに連れてきたこともに感銘し、
「私にできる事があれば」と言ってくれた。

私たちは、翌日チハルちゃんが見れなかったパガンの遺跡を見に行くことにしていた。
チャコちゃんもまだ行ってない遺跡もあるということで、翌日は車で一緒にパガン観光をするとになった。

翌日、パガンで雇っていたガイドもチャコちゃんを見て、驚いていた。
そのガイドは、チハルちゃんが亡くなる数時間前まで会っていて、遺体確認をしてくれたミャンマー人。

「彼女は誰!?」
「昨日の朝、両親がホテル前を散歩してた時に、チハルちゃんにそっくりな日本人女性を見つけ、声をかけたんだってー
私たちもびっくりしたよ。
似てるでしょ」

「うん・・・そっくり」

彼も幻を見るように驚いていた。


お父さんは、チハルちゃんの生き写しのチャコちゃんと一時も離れたくないようで、
「チャコちゃん、こっちに座って」と、両親の間の席を空け、ポンポンと座席を叩き、自分の隣に座るよう勧める。

お母さんは「お父さん、それはセクハラだよー」と言い、みんなで爆笑。

チャコちゃんは、「そこに座ってもいいんですか?」と、快くお父さんとお母さんの間で座ってくれた。

私とKさんはこっそり「チャコちゃんごめんね」と言うと、
「全然良いんです!
私、嬉しいんです!
両親はすごく素敵だし、私お父さん好きですよ」

チャコちゃんのおかげで、パガン最終日はみんなが楽しい空気に包まれ、笑いが絶えなかった。

もしかしたらチャコちゃんは、ショックを受け悲しんでいる私たちの為に、
ちーちゃんが天国から送ってくれた自分の分身ではないか?と思えた。


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Re: No title

お母さん

チハルちゃんも行ったことがあるチュニジアで事件がありましたね。
チハルちゃんがいたら、絶対すぐ連絡を取り合って、事件の話題をしてたと思います。
行ったことがある国、場所だけによけい辛いです。
あんなに温厚で外国人に対してすごく親切な国民のチュニジアで、チュニジア人が事件を起こすなんて、まだ信じられないです。
海外で事件があると、殺害された人だけでなく、ご家族や周囲の人たちの辛さや精神状態は大丈夫だろうか・・・って心配するようになりました…


> 天使が舞い降りたはぴったりの表現ですね。あの時状況をとても上手く現してくれていると思い有難いです。
> この頃のチュニジアの事件は一緒に旅行していた方がたが事件に巻き込まれた人はもちろんどんな思いなのかと心配です。そして千晴と一緒にたまたまなった河野さんや河野さんが前回お話しされていた女性のミヤンマーで知り合った方などはすごく辛いのではと思っています。なんとか成らないものでしょうか。

No title

天使が舞い降りたはぴったりの表現ですね。あの時状況をとても上手く現してくれていると思い有難いです。
この頃のチュニジアの事件は一緒に旅行していた方がたが事件に巻き込まれた人はもちろんどんな思いなのかと心配です。そして千晴と一緒にたまたまなった河野さんや河野さんが前回お話しされていた女性のミヤンマーで知り合った方などはすごく辛いのではと思っています。なんとか成らないものでしょうか。
プロフィール

かおり

Author:かおり
大阪出身
旅が大好きで、気がつけば40数カ国旅をしています。そして念願だった旅行記を2006年出版。
多くの人に一人旅の魅力やイスラムの国々の良さを知ってもらおうと、書著「やっぱり旅はやめられない イスラム編」を書きました。
2008年に第2弾となる「中国編」を出版。

最寄の書店での注文、もしくは上の“おすすめ商品!”の「やっぱり旅はやめられない」をクリックしてみてね!

プロフィール写真は、私本人ですが実物はまるで違います…あしからず。

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  • 天使が舞い降りた 1
  • 2015年02月21日 (土)
  • 13時10分11秒
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